在宅医療と調剤薬局
2012年度の診療報酬改定は、今までの改定の中でも方向の示し方がはっきりした内容であったと思われます。2025年のあるべき医療・介護の姿に向けての取組みを、具体的に踏み出すための最初の第一歩であるのだと思います。
医療重点項目の財源配分として、急性期医療の適切な提供維持に1,200億円、地域生活を支える在宅医療の充実のための医療と介護の機能分化と円滑な連帯に1,500億円、がん治療、認知症治療等の推進に2,000億円が上げられる。いずれも高齢化社会が進む中、われわれ国民が安心して医療を受けられる環境を整備して行くには、必要な配分内容だと思います。
厚生労働省の政策レポートによると、我が国の65歳以上の高齢者人口は総人口の2割を超え、今後さらに高齢化が進展すると予測されています。また社会情勢の変化や、高齢者人口の増加があいまって、今後は高齢者の独居世帯、あるいは高齢者夫婦のみの世帯が増加すると予測されています。 2025年では高齢者単独世帯の数が673万世帯という推計が出ています。
今後医療と介護の連携の充実が求められる事になりますが、これを踏まえ今回の改定で私が注目したい項目は、在宅薬剤管理指導業務の推進に係わる改定内容です。在宅患者訪問薬剤管理指導料等を算定している患者に、調剤を行った場合の在宅患者調剤加算の15点、小規模薬局間の連携による在宅業務の評価、無菌製剤処理加算に関する施設基準の見直し等です。特に訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(基幹薬局)があらかじめサポート薬局と連携している場合に緊急、やむを得ない場合は基幹薬局に代わってサポート薬局が行った在宅患者訪問薬剤管理指導料等についても算定できるといった項目です。
実際の運用等実現に向けて、お互いの協議の部分も多く出てくるでしょうが将来の安定した在宅医療の推進に具体的に一歩踏み出した感が有ります。これからの調剤薬局の在宅医療への取組みの推移を期待して見守りたいと思います。
医療タイムス紙 平成24年4月10日掲載