診療所の開業形態
病院の医師確保の問題から退職して開業までなかなかたどり着き難い、開業したい場所の確保の難しさ、ここ数年で開業した診療所の数が多く飽和状態になってきている地域ががある、などの要因があるのかもしれません。今後診療所の新規開業がどの様に推移して行くか気になる所ではあります。
開業の形態としては戸建、ビルのテナント、居抜きで入るケースなどがあります。いずれの場合もメリットもあれば、デメリットもあります。そんななか長野県に限らず全国的な現象と言っても良いと思いますが、診療所の先生がご高齢となられ息子さんや娘さんに事業承継するケースが多くなっていると思います。事業承継の場合でも幾つかパターンがあります。個人の診療所の場合、医療法人としての診療所の場合で、なおかつそれぞれを親族に承継させるのかそれとも第三者に承継させるのか等です。後継者がおられない場合などで廃業せずに診療所を存在させたい場合は第三者後継者に事業承継してもらいますが、この相談が実際多くなりつつあります。
第三者への事業承継で後継者のメリットととしては承継するケースによりますが、なにより現在の院長が築き上げた地盤をそのまま受け継げる事だと思います。ただ、前の院長の診療方針と後継者の診療方針が異なる場合などで、患者さんがそれを理解して後継者の先生に溶け込むのに時間が必要になるケースもあると思います。また承継する財産、例えば土地、建物、医療機器類などをどういう形態で承継するか。 全て売却するのか、それとも賃貸とするのか等々色々な形態が考えられるので、事前に前の院長と後継者とでじっくり話をする時間を設けましょう。
できれば信頼のおける税理士さんやコンサルタントに仲介してもらい話し合いを深めて行けばどうでしょうか。
これからの開業パターンの選択肢の一つとして第三者の事業承継が増えて行くのかと思われます。
医療タイムス紙 平成23年12月1日 掲載