診療科ごとの説明
前回までは税務調査の全般的な説明でしたが、今回は具体的にどのような注意点があるかをお伝えしたいと思います。税務調査では収入の計上漏れなどを確認しますが、各診療科目でチェックの視点が異なるため、それぞれの診療科目について説明いたします。
☆ 内科・小児科
市町村などからの予防接種の委託料は実施から入金まで時間がかかるため、決算時に未収金として計上する必要があります。決算日までに実施した予防接種で翌期に入金となるものは計上漏れにご注意下さい。また、小児科などで多く見られる福祉医療費の事務手数料は年に一回の入金となるので決算時に未収金とする部分があります。
☆ 整形外科
自賠責収入、労災保険収入については保険診療収入のように請求時期と入金時期が明確でないため収入計上漏れの調査が多く見受けられます。これらについては請求と入金の確認ができるよう管理台帳を作成する事をお勧めします。
☆ 眼科
コンタクトレンズ販売をするための法人(MS法人)を併設している事が多く、医療機関とMS法人間で共有されている人件費や販売スペースなどの賃料などについて、どちらの経費となるかの確認があるため、合理的な基準を定めて経費を按分する必要があります。
☆ 歯科
歯科の調査では金属屑の売却が収入に計上されているかを、必ずと言ってよいほど確認します。売却した収入を現金で受ける、院長先生個人の通帳に振り込まれるなどして収入から漏れる事が見受けられます。売却があった際は忘れずに収入計上をしてください。また、技工所に預けてある金属が決算の際の棚卸に含まれているのかのチェックも行われます。棚卸をする際には診療所にあるものだけでなく、技工所に預けている部分の金属についての把握も行う必要があります。
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収入についての調査は診療科目毎の特色があるもの、全ての科目に共通する調査項目は保険診療以外の収入と年度末の未収金の計上漏れです。この点については税務調査で指摘されないように決算、確定申告の際に十分ご確認ください。
医療タイムス紙 平成23年10月10日 掲載