慢性期入院医療の今後
2010年度診療報酬改定では急性期医療の充実に重きをなした点数配分になっていました。
救急、産科、小児、外科等の再建が課題の1つとして取り上げられ、視点的には医療と介護の機能分化とその連携の推進が特徴的でした。再診料は診療所を2点下げ、200床未満の病院を9点引き上げ69点で統一されました。
今から10年前、高齢化の進展等に伴う疾病構造の変化などを踏まえて良質な医療を効率的に提供する体制を確立するため、入院医療を提供する体制の整備等を図るための病床区分の見直しがありました。つまり一般病床と療養病床の区分けでした。急性期医療の充実を図る点数配分に関する今後の展開に注目したいが、高齢化率が進む中、急性期の入院医療からの患者、在宅療養中の患者や介護施設の入所者を受け入れる為の慢性期入院医療体制の今後の展開も気になります。
医療療養病棟入院基本科は入院患者の重症化が進んでいる事を踏まえ、20対1病棟と25対1病棟の点数が改編されました。
11年度慢性期入院医療の包括評価調査分科会の報告(案)の資料では10年度改定の療養病棟入院基本料変更の影響を検証しています。
医療療養病棟の患者状態像の変化について08年度慢性期調査と比較すると、20対1病棟においては医療区分2と3の患者割合が68.1%→87.1%に増加し、医療区分1の患者割合は低下した。25対1病棟は医療区分2と3は68.1%→63.2%に微減し、医療区分1の患者は31.9%→36.8%へと微増した。医療療養病棟と介護療養病棟との比較では、介護療養病棟の医療区分2と3の患者割合は27.3%、医療区分1は72.7%で医療療養病棟の医療区分2と3は74.8%、医療区分1は25.2%であった。これらの数字から医療療養病棟と介護療養病棟の機能分化が進んでいるものとしています。
いずれにしてもこの各種病棟入院基本料がどのようにシフトして行くのか、また総合的に慢性期入院医療がどのように展開して行くのか見守りたいと思います。
医療タイムス紙 平成23年10月1日掲載