基本的な税務調査の流れ
今回は基本的な税務調査の流れについてお話をさせていただきます。
① 院長や医院・事業所についてのヒアリングや世間話
② 1日の業務の流れやお金の動き、経理や給与についてのヒアリング
③ 具体的な調査の開始 診療日計表、領収書、請求書、納品書、棚卸表等を チェックし、書類に不備が無いか確認
④ よくある調査事項 人件費・外注費に架空なものがないか、棚卸表と期末の 請求書からの購入材料・薬品の整合性、窓口現金の実残高と出納帳の突合せ
⑤ 最後に調査の総括や指摘事項等の説明、その後について協議
税務調査官もいきなり調査を始めません。調査に関係の無いような緊張をほぐす世間話等を交えながら情報収集します。
窓口現金の動きや、自由診療の領収書は特に注意が必要です。医療費の領収書は医療費控除として確定申告で利用されていることがあり、税務署はそれを把握していますので整合性を必ず確かめます。
棚卸表と期末の仕入請求書の確認や、いわゆる未収入金、特に窓口部分の計上漏れ等も必ず調査されます。
調査の最後には、税務調査官より指摘や総括があり場合によっては修正申告に応じることになります。
☆実際に調査があったら?
以下に税務調査「対応心得7箇条」としてポイントをまとめましたのでご覧下さい。
① 事前に対象の申告を再確認し問題点があるかどうかを把握しておく
→ これは本当に重要です。質問に対して、しっかりと回答できるようにしておきましょう。
② これを機に資料の整理整頓をしておく
→ 整理整頓はミス撲滅の始まりです。決算期ごとに書類・資料の分類をし、不要な付箋等もはずしましょう。
③ 毅然かつ丁寧に対応し、曖昧な回答は避ける
→ 冷静な大人の対応を心がけ、必要なら後日回答として明確な回答をしましょう。
④ 聞かれたことだけに答える
→ これが本当に難しいです。話に夢中になってつい余計なことを喋ってしまい、そこから調査の手がかりを掴まれることがあります。
⑤ 税務署職員がコピーした資料はこちらも把握しておく
→ 問合せに応じるため、どこをコピーしたか把握し、税務調査立会いの時のメモは保存しておきましょう。
⑥ 指摘に納得できないなら修正申告に応じない
→ 修正後は訂正できないので、納得できないままの申告は避けましょう。
⑦ 交渉すべきことはする
→ 税務調査の日程を診療に差し障りが少ない日への変更依頼や、指摘に関して等、交渉できそうなことは必ず交渉しましょう。
ご参考になりましたでしょうか?しっかりとした準備や対応の徹底が税務調査時には必要です。
医療タイムス紙 平成23年9月20日 掲載