税務調査先の選定
診療時間中に突然、税務署職員がやってきて「税務調査をこれから行います、 資料を全部出して下さい」と言われて先生、スタッフが凍り付き患者も驚く・・・・。
そんな税務調査のイメージをお持ちの先生はいらっしゃいますでしょうか?
ご安心下さい。映画「マルサの女」で繰り広げられるような、強制的な調査はよほどの脱税行為が無い限り行われません。一般的な税務調査では事前に通知や連絡が来て、事業の邪魔をしないような日程等、こちらの要望を受け入れて行われるようになっています。
気になる先生方も多い医療機関の税務調査についてお話をさせていただきます。
第1回は税務調査の選定先に選ばれるポイントを説明します。
☆税務調査の目的とは何?
税務調査の大きな目的は、「適正で公平な課税を実現するため」となっています。つまり、所得税や法人税等の申告が法律やルールに則ってされているかどうかをチェックし、間違いがあれば正すのが税務調査なのです。
☆個人事業や赤字法人にも税務調査が入る?
税務調査は儲かっている、怪しい事をしている事業所だけが調査対象になるわけではなく、赤字の事業所が選ばれることもあります。税務署では税務調査の年間目標件数を定めて調査対象を決めているようです。近年、不況続きということもあり、全国的にも赤字の事業所が多く、黒字の事業所優先とばかり言っていられないこと、また、赤字を装い、不況を傘にして脱税をしている事例も散見しており、赤字には関係なく消費税主体の調査目的で赤字申告の事業所が調査対象に選ばれることもあります。
個人事業の診療所が税務調査対象になることもあります。
法人税(所得税)調査が目的と言いながら、同時に消費税・源泉所得税・印紙税も調査されるということを付け加えさせていただきます。
また、医療関係の黒字法人で3~5年に1回、個人事業で10年に1回位調査があると言われていますが、実際には何年も税務調査対象にならない事業所も中にはございます。
☆どうやって、調査対象に選ばれるのか?
税務調査先の選定にはまず国税庁が持っているデータシステムから税務調査を長年受けていない事業所が優先されて選ばれます。
更にそこから過去の申告と比較して数字の変動が著しい場合や、同業他社の平均数値と比較して大きく数字が逸脱している場合は特に選定されやすくなります。
医療タイムス紙 平成23年9月10日 掲載