保険料の経費算入
今回の削減テーマは「保険の経費算入」です。生命保険の削減対策として逓減定期保険(契約期間経過により保障額を下げていくタイプの保険)をご紹介いたしました。生命保険を切り口として、もう一つご検討いただきたいのが、保険料を経費とするということです。
前回の例では、事業の借入金に対する保障と、万が一の時でも子供の学資が不足しないようにと定期保険を掛けていました。これらの保険は個人事業では年間いくら支払っても、確定申告の生命保険料控除は5万円までしか認められていません。しかし、医療法人では支払保険料が経費と認められます(契約期間やタイプによって全額が経費にできないものもございます)
次の例は、月々の保険料10万円の生命保険を先生個人で支払う場合と医療法人で支払う場合(先生個人の税率50%、法人の実効税率30%で試算)の比較ですが、法人で支払う方が、個人で支払うよりも税額を33.5万円下げられたことになります(下参照)。
個人の場合
年間保険料 10万円×12ヶ月=120万円
経費(控除)となる額 生命保険料控除 5万円節税額
節税額 5万円×50%=2.5万円
法人の場合
年間保険料 10万円×12ヶ月=120万円
経費(控除)となる額 120万円
節税額 120万円×30%=36万円
このように個人と違って、法人では経費算入できるというメリットがあります。したがって、医療法人成りする際には、個人で加入している保険の内容を確認し、個人に残すか、法人へ名義変更するかご検討されることをお勧めします。しかしよく検討せずにやみくもに名義変更してしまうとデメリットもありますので、次号で名義変更や新規加入の際の注意点についてご紹介致します。
医療タイムス紙 平成23年8月1日 掲載