お知らせ

医療法人等における高齢者向け賃貸住宅経営モデル

 昨今、高齢者向け賃貸住宅を医療法人等が経営することが注目されています。今回は、医療法人等における高齢者向け賃貸住宅を活用した経営モデルについて述べさせて頂きたいと思います。

 平成18年医療法改正で「在宅療養支援診療所」が制度化されました。また、平成19年には医療法人に適合高齢者専用賃貸住宅等の経営が解禁され、医療・介護が連携した「在宅」でのサービスを提供する方向性が明確となりました。更にこの四月には、通常国会において「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律案」が参議院で可決されました。この法改正により「サービス付き高齢者向け住宅」の供給促進に向けた取り組みが実施されます。

 なかでも「サービス付き高齢者向け住宅」の整備事業に対する補助金(サービス付き高齢者向け住宅整備事業)が4月1日から募集開始となりました。この補助金は、国の定める登録基準を満たすものについて、新築工事費の1/10(上限100万円/戸)・改修工事費の1/3(上限100万円/戸)が補助されるものです。さらに、高齢者生活支援施設として、病院・診療所や介護施設等が併設される場合でも、その工事費に対しても補助されるという手厚いものです。

 医療法人等にとって、高齢者向け賃貸住宅の活用は、喫緊の課題である「入院日数の短縮」に対して受け皿となり得る施設といえ、医療・看護・介護・商業の相乗効果により経営メリットが期待できます。

 かたや入居者やその家族にとって、医療法人等の経営する高齢者住宅であることは絶対的な安心感があります。よって、医療法人等は高齢者住宅の運営に非常に適していると考えられます。

 今後、医療法人等には「待ちの医療」から「地域へ出る医療」への転換が求められます。少子高齢化・独居高齢者・家庭介護力の低下という社会環境を背景に、「高齢者の尊厳を持ち、安心・快適に暮らせる住まい」への志向が高まっています。医療法人等にとって高齢者向け賃貸住宅という経営モデルの検討が必要な時代なのではないでしょうか。

医療タイムス紙 2011年5月10日 掲載 (掲載紙と一部変更がございます)