建物改築・新規開業の発注者として注意点
今回は、既存診療所の老朽化に伴う改築やスペース拡大のための
増築を検討される際や、別用途の建物を改築して新規開業を検討
される際に発注者として注意すべきポイントについて述べさせて
いただきます。
まず診療所以外の建物を改築し新規診療所を開設する際は、
建築基準法で定められた用途変更等の届出が必要な場合が
ありますので、建築会社や設計事務所等の専門家に
相談をして下さい。
手続き用の書類作成や審査に相当な時間を要する事も
覚悟しておいて下さい。
また一部の間仕切りの変更等、軽微な改修で確認申請が
不要な場合でも、法令に合致していることが前提になります。
安易な改修が違法工事となってしまう事も
ありますから注意して下さい。
増築や改修工事で間仕切りや壁・柱等の撤去や移設が
必要な場合は、構造計算などによる検討が必要になります。
このことを怠り安易な工事を進めると、耐震性能の低下等、
建物自体の安全性に問題を生ずる場合もあります。
最悪は倒壊などの危険性が及ぶこともありますので注意が
必要です。
内装工事を専門とする業者では、建物の構造計算や
耐震性判断に疎い場合がありますので、設計や施工の
依頼についても慎重に行いましょう。
トイレ等の水廻りの移設や増設、吸引設備や新しく医療機器等の
導入を検討される際は、電源設備や配管ルートの見直しが
必要になります。効率的なルートやメンテナンスの方法についても
充分な検討を行いましょう。
またCT・MRI等の機器の導入の際は、エックス線や磁気等の
遮蔽基準・構造設備等について法的な検討が必須になります。
現在の建築基準法では既存建物の増改築を検討する際に、
いわゆる「既存遡及」が厳しくなっております。
一部の増改築に止まらず、建物全体の補強や法的改修が
求められる場合もあります。
新築との比較も含め、費用対効果についても十分検討しましょう。
医療タイムス紙 2011年1月10日 掲載