お知らせ

解雇を巡るトラブル Ⅰ

 「えらいことになったよ」担当先の先生より夕方突然電話がかかってきました。詳しく話を聞くと、解雇を伝えた女性スタッフの父親がこれから医院に来るとのこと。動揺する先生に、まずは相手の話を聞くこと、認識の違いを防ぐために記録を残すこと、こちらからは断定的な言い方はしないようにと伝えました。父親の要求は、娘の解雇は不当なので弁護士を立てて復職させる、というものでした。開業されている先生がその対処に悩む解雇にかかわるトラブルです。

 この先生のケースでは、その後問題スタッフが一人で労働組合に加入し団体交渉になったため、こちらも弁護士を立て、交渉を進めましたが、先生の時間がとられることやスタッフへの影響等の医院運営上の理由もあり、一端復職させざるをえませんでした。その後問題のスタッフが退職するまで、先生が抱えていたストレスは凄まじいものでした。

 今回トラブルを防ぐ方法はあったのでしょうか。有効な手段はいくつかありますが、大きく分けて、入社前・入社直後と、入社後しばらく経ってからに分かれます。今回は入社前・入社直後についてご紹介致します。

 入社前については、入社試験の徹底です。面接のみという医院が多いと思いますが、それだけではわからない問題点もあるからです。入社試験では書き取り問題(政治、時事問題、漢字)や、作文(入社動機や今までがんばれたこと)を書いてもらうことでその方のレベルがわかります。ここで労を惜しまないことが、労務トラブルを未然に防ぐために重要なこととなります。

 入社時に心配な場合は、本人の承諾を得て当初のみ期間契約にし、問題が見受けられる場合には期間満了を持って辞めてもらう方法です。契約期間は3ヶ月や6ヶ月等とし
(1年等あまり長くすると逆に応募者の不評を買いかねない)働き具合、人となりを見ることができます。注意点として、辞めてもらいたい場合は契約の更新をしない旨を期間満了1ヶ月前までに本人へ告げる必要があります。

医療タイムス紙 2010年12月1日 掲載