設計・工事依頼の注意点
先生方が「初めての診療所建築」を検討される際、何をすれば良いか、何から始めたら良いか等、なにかと戸惑う事が多いと思います。設計や建設工事を依頼する上でのポイントを幾つか挙げたいと思います。
まずは最初に計画する敷地の有効利用を検討しましょう。例えば、建物と駐車場や緊急車両の待機場所等との位置関係(ゾーニング)と、これらを結ぶ利用者・従業員・業者の方・そして先生方の経路(動線)を、敷地形状や周辺状況を考慮して決めます。これを間違えると、人や車等との動線が衝突してしまい危険な箇所が出来てしまうこともあります。敷地を効率的に利用し、スムーズな動線計画をする事がまず診療所建築の成功の第一歩です。
ラフな図面で何案かを設計士に作成させ比較検討をして見ましょう。
敷地レイアウトが決まったら、今度は建物の計画です。まずは設計士に対し医療方針を明確に伝えましょう。ここが一番重要です。聞き取った医療方針をいかに建物に具現化するかが設計士の腕の見せ所でもあります。まずは基本プランの打合せです。必要な部屋の数・面積や設備、導入を予定する医療機器について分かる範囲で伝えます。また雇用する従業者数も伝えておく事が必要です。この打合せを綿密に行う事により開業後の先生やスタッフさんの作業効率や患者さんの快適性がグンとアップします。
また、建築予算や開業スケジュールを明確に伝えます。伝えたニーズを予算内で出来る限り反映する様、工法や仕様を提案してもらいましょう。また設計や工事の工程表を作成してもらい、関係者の業務範囲と役割を明確にします。
最後に建物工事費以外に発生する費用についても把握しておきましょう。例えば上下水道の負担金。建築確認申請料・土地建物登記費用・建物火災保険料等々です。土地によっては地盤補強・埋設物の撤去や近隣対策費など予定外の費用がかかる場合もありますので注意しましょう。
2010年11月10日 医療タイムス紙掲載