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医療法人は本当に得か?

今回はご相談の多い「医療法人化は本当に得か?」がテーマです。

 医療法人化は個人診療所の節税対策として用いられる事が多く、いくら節税になるのか?というご相談を良く受けます。

 例えば年間利益(所得)が約2,500万円のある個人診療所を医療法人にすると、
毎年896万円であった納税額が482万円(医療法人と個人の合算)となり毎年414万円という大きな節税効果が発生します。  しかし節税金額だけでなく注目していただきたいのは、キャッシュフロー、年間でどれだけのお金が手元に残るかです。

 節税金額がそのまま手元に残ると考えがちですが、問題になるのが厚生年金の新たな負担。従業員5人未満の個人診療所では厚生年金の加入は選択できましたが、医療法人になると強制加入となります。スタッフだけでなく先生や奥様といった常勤役員も対象となりますので、今まで未加入であった診療所にとっては厚生年金の保険料は大きな支出となります。

 この診療所では厚生年金に加入となった場合、年間248万円の診療所負担が新たに発生するため、節税金額414万円マイナス厚生年金負担248万円=166万円が手取額の増加ということになります。

◇ 節税以外に多くの利点 ◇
 新たな診療所の負担が発生するものの厚生年金加入により従業員の福利厚生の充実や先生方の将来の備えになるという考え方もありますので、この点も加味して検討する必要があります。
 医療法人制度はキャッシュフローを改善させる以外にも多くのメリットがありますので「早く法人化しておけばよかった・・・」ということにならないように個人診療所の先生には確定申告の度に検討をお勧めします。

医療タイムス紙 2010.11.1 掲載