設計と施工は分離がベター?
「開業時の建物建築は、設計と施工は分離し施工は入札によりコストの低減化を図る」
開業マニュアルや開業の指南書は必ずといっていい程この記載があります。
本当にそうでしょうか?
私は逆に、開業のお手伝いを繰り返すたび、診療所開設の場合の建築は「設計施工一体方式の方がベターである」との思いを強くしています。
まず診療所建築の特異性であり、ある意味最も重要なとして要素として医療機器・電子カルテなど情報システムの選定および配置計画があります。
通常、医療機器や電子カルテなどの選定は基本設計が終わってから行われるため、随時密な建築との摺り合わせが必要になります。施工サイドが先生のニーズを詳細に把握していないとトラブルになることもしばしばです。
都度、医療機器等の選定についてはもちろん、もっと細かくはコンセントの位置ひとつひとつ、先生のニーズについて設計管理・施工担当者までが把握をしておく事の必要性を痛感しています。
建築を請負う施工会社が単に「建てる」立場では絶対に良いものは出来ません。
診療所建築の場合、設計後のプランや仕様などの変更はつきものです。
先生の開業理念、開業方針などを建築に携わる全ての人が認識をし「創り込む」イメージがないと、「使い勝手の良い建物」は出来ないと思います。
私ども研究所では、まず先生の基本方針に従い事業収支を立てます。当然その中に建築予算がありますので、予算の範囲内で先生の思いを設計施工に反映し建物建築で具現化可能です。まさに設計施工の立場からも「事業性の確立」を意識する事が大切であると思うのです。
「設計施工分離方式」も有効なひとつの手法ですが、診療所建築を検討される場合「設計施工一体方式」が最も適した手法であると確信しております。