免震構造でも要注意
大地震の際、医療施設に及ぼす影響度の公開実験が行われました。
これは防災科学技術研究所が実施した医療施設の実大振動実験で、免震の建物や建物内の医療機器などに振動がどの様な影響を及ぼすかを調べたものです。公開実験は2008年12月と09年の1月の2回のわたり行われ、一般の建物と免震の建物でそれぞれ行われました。
実験に用いられたのは鉄筋コンクリート4階建てで、いずれも通常の医療施設に模して、診察室・手術室・X線室・ICUなどが配置され、さらにスプリンクラーや高架水槽などの設備も設置され、医療施設がほぼ忠実に再現されました。
まずは非免震の一般の建物
阪神大震災の際に発生した地震動を80%に再現しました。
加震の結果、4階の全てのベットが移動したのをはじめ、殆どの部屋で機器や家具が移動してしまい、医療機器に関しては液体ボンベが転等するなど、破損、損傷の懸念もされる事がわかりました。
次に免震の建物ですが、基礎部に積層ゴムを設置した構造で実験をしました。
特にゆっくりとしたゆれがつづくが数分続く長周波地震動の実験では、建物が揺れに共振し、やはり免震構造は周期の短い揺れに共振し易いことが改めて証明されました。
実験をした防災科検の主任研究員によると、「機能保持を目指す医療施設では、免震構造が有効な事はわかった。しかし、長周期地震に対しては免震構造でも過信は出来ない。機器の固定などについて検討の必要がある」とのコメント
いざという時の避難場所・安全確保の場所として期待される医療施設において、免震構造も万能ではなく、特に医療機器や器具の固定などが必要だということです。