診療所建築における木質構造のあり方
診療所建築を検討する際、「環境への配慮」や「環境との共生」に気を遣われる先生方が増えています。すなわち木造建築が再度見直しをされて来ている感があります。
地球温暖化の防止にとって、森林、木材の果たす役割は大きく、またその森を守るためにも、木造建築の適切な普及が期待されています。
一方、阪神淡路大震災以後、木造建築の構造に関する、研究や規基準の展開には目を見張るものがあります。
木造建築には厳しい耐震性能が求められるのです。
一般的に建築基準法で定められる耐震等級は1です。
等級1とはすなわち「極めてまれに(数百年に一度)発生する地震による力に対して倒壊、崩壊などしない程度をいいます。
品確法に基づく性能評価基準で定められる耐震等級は2です。
等級2は1の1.25倍の力に耐える程度をいいます。
今後は国からの指針により200年住宅の促進が考えられ、耐震等級3が求められそうです。
等級3は1の1.5倍の力に耐える程度をいいます。
この様に木造建築全体の耐震性能は飛躍的に高まっており、構造的には阪神淡路レベルの地震には充分に耐えるものになってきています。
木造建築の持つぬくもりと科学的に裏付けられた強度が両立可能になった訳です。
診療所には災害時の避難場所などとしていざという時の公的な役割も期待されます。また精密で高額な機器を守る役割もあります。
さらに地球環境問題を考えるとき、建築の分野において、木造建築の果たす役割は更に大きくなっています。
「強くしかもぬくもりのある人に環境にやさしい診療所」の建築を実現するため木造建築を再度見直す必要がありそうです。